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「大量消費社会の地球への代償」

「大量消費社会の地球への代償」

VOL.4 ― 資源は足りるのか?環境に耐えられるのか? ―

                    


「たったひとつの商品が作られ、使われ、捨てられるまでに、地球はどれだけの負担を強いられているのか?」

私たちは日々、多くの製品・サービスに囲まれて暮らしています。 しかしその“便利さ”の裏で、地球環境と未来の資源は確実に削られているのです。

今回は、「データと現実」を見ながら、私たちの社会構造がもたらしている環境負荷を深掘りしていきます。


1|地球が1年で再生できる資源を、人類は8か月で使い果たしている

  • 国際環境NGO「Global Footprint Network」によると、 地球の再生能力を超える“地球超過日(Earth Overshoot Day)”は、 2023年には8月2日まで前倒しされました。
File:1971- Earth Overshoot Day - line chart.svg - Wikimedia Commons

つまり人類は、1年分の自然資本(森林、土壌、水、大気など)を8か月で使い切ってしまっているということ。

※ 地球が1つでは足りない 現在のライフスタイルを維持するには、地球1.7個分の資源が必要という計算になります。


2|将来の資源は“静かに枯渇”していく

▷ 現在の消費ペースでは、次のような資源が枯渇すると予測されています:

資源

枯渇見通し

主な用途・背景

銅(Cu)

2050年頃

電線・モーター・EVの配線

リチウム

2080年頃

EVバッテリー、スマートフォン電池

インジウム

2030年代

タッチパネル・液晶ディスプレイ

リン鉱石(P)

2100年前後

肥料、生産性の高い農業に不可欠

石油

2050年以降

プラスチック・燃料・化学品など広範に利用

※ 技術革新で延命されることはありますが、「代替できない元素」も多数存在します。


3|廃棄物の山は、地球環境そのものを汚染している

▷ 年間廃棄物総量(世界):約23億トンから2050年には約34億トンに増加すると推定

(World Bank “What a Waste 2.0”より)

  • そのうちすくなくとも33%が埋立・焼却され、有効利用されていない
  • 特にプラスチックは自然分解せず、海洋・土壌・人体にも蓄積
What a Waste
What a Waste explores global solid waste management trends and data. The accompanying What a Waste publication will include global, regional, and urban trends on solid waste management from technical and financial issues to environmental and social.

▷ 海洋プラスチックの現状:

  • 毎年1,100万トン以上が海に流出(= 1分にトラック1台分)
  • 2050年には「魚の数よりもプラスチックの量が多くなる」との試算も(エレン・マッカーサー財団)
The New Plastics Economy: Rethinking the future of plastics & catalysing action
This report provides a new way of thinking about plastics as an effective global material flow aligned with the principles of the circular economy.

▷ 電子ごみ(e-waste)の爆発的増加:

  • 世界の電子ごみ排出量:年間6,200万トン(2023年)2030年には8200万トンになる見込み(40トン トラック 150万台分)
  • 回収・再資源化されるのはわずか17% リサイクル率は2022年 22.3%から2030年 20%へ低下していく予測

4|気候変動:大量消費がもたらす“見えないCO₂”

▷ 製品1つのライフサイクルが排出する温室効果ガス(GHG)

製品・行動

CO₂換算排出量(目安)

ノートパソコン1台の製造

約300〜500kg

ジーンズ1本

約33kg(コットン〜輸送まで)

スマホ1台

約55kg

食品廃棄1kg

約2.5kg

消費・廃棄を前提とする経済は、気候変動のドライバーの一部でもあるのです。


5|影響は“地球の周縁部”に押し付けられている

  • 欧米・日本など先進国からの廃プラスチックや古着・電子ごみは、しばしば東南アジア・アフリカへ輸出される
  • それらは非公式な野焼きや不法投棄により、地域住民の健康を害し、環境を破壊するケースも多数
Electronic waste (e-waste)
E-waste is one of the fastest growing solid waste streams in the world. In 2022, an estimated 62 million tonnes of e-waste were produced globally, but less than a quarter was recycled appropriately. When recycled using unsound, informal activities e-waste can produce many hazardous toxicants that may pollute the air, soil, water and dust. These hazardous toxicants include lead, mercury and dioxins, chemicals that are known to have adverse health effects. Children and pregnant women are particularly vulnerable to e-waste. WHO is working to raise awareness of the risks of informal e-waste recycling activities, and methods to reduce and prevent childhood exposure.

サーキュラーエコノミーは単なる「環境のため」ではなく、地球規模の公正性(ジャスティス)のためでもあるのです。


では、どうすればいいのか?

以下のような構造転換が求められています:

転換前

転換後(サーキュラー視点)

生産 → 使用 → 廃棄

設計 → 再利用 → 資源循環

安く大量に作って売る

長寿命/修理可能/サービス提供型



GDP・販売数で評価

循環率・CO₂削減・資源効率で評価


まとめ:数字は私たちの「暮らしそのもの」に問いかけている

こうした数字は、遠い未来の話ではなく、 今この瞬間に、あなたの手の中にある製品の背景で起きている現実です。

私たち一人ひとりの選択が、地球規模のインパクトを持つ時代。 だからこそ、企業も自治体も、社会の「循環型再設計」を本気で始める必要があります。

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