Circular E
Circular E

© 2025 Circular E

Columns

欧州の現場から届けるストーリーや事例、政策動向を通じて、サーキュラーエコノミーの気づきと学びを共有します。
世界中の読者とつながり、共感と行動を生み出すきっかけとなるメディアを目指しています。

北欧から立ち上がる、循環型建設の新しい道標

— Nordic Ecosystem for Circular Construction に参加しての循環型建設の向かう示唆とは。 サーキュラーエコノミーという言葉自体は、もう珍しいものではなくなりました。欧州でも、日本でも、ここ数年で一気に広まりました。 ただ、建設という分野に限って言えば、「考え方は共有されたが、現実はまだ線形のまま」そんな状態が続いてきたように感じています。 今回、デンマークで開催された Circular Build Forum の最終日、 「Launch of the Nordic Ecosystem for Circular Construction」 と題されたセッションの最終日に参加しました。 北欧では、“構想”の話はあまりしていない セッションを通してまず感じたのは、循環型建設を「どう考えるべきか」という話が、ほとんど出てこなかったことです。 代わりに語られていたのは、 * すでに実装された建物の話 * それが実際にどう機能しているか * どこで止まり、どこが動き始めているか といった、かなり具体的で、現場に近い話でした。 病院

Eiji Yamamoto・

欧州CE規制の先にあるもの

― テキスタイル循環をめぐる、あるEU連携の対話から― これまで、廃棄物やプラスチックを起点に、「捨てたあとに何が起きているのか」を見てきました。 その延長線上に、衣服やテキスタイルの問題があります。 先日、EUの循環経済政策と連動した公式イニシアチブの一環であるEUとインドの関係者が参加するテキスタイル分野の循環経済ワークショップに参加しました。 この場では、テキスタイル分野における ESPR(持続可能な製品規制) や デジタル製品パスポート(DPP) に関して、今後委任法で議論される項目や論点が、比較的率直な形で具体的に共有されていました。 耐久性や修理可能性、再生材の扱い、製品情報をどうデータとして持たせるのか。 いずれも、すでにどこかで最近よく耳にした言葉かもしれません。 このセミナーで印象に残ったのは、制度の中身そのものよりも、その前提条件でした。 繰り返し語られていたのは、「この規制はEUだけでは実装できない」という認識です。 テキスタイルは、原料から製品になるまでの多くの工程が EUの外にあります。 インド、日本、バングラデシュ、東南アジア、南米など。 サ

Eiji Yamamoto・

「透明なごみ」が世界を覆うとき

Vol.15| ― ペットボトルの静かな脅威 ― はじめに:見えないから、問題にならない 海辺を歩いていると、目立つのは大きなプラスチックごみです。 発泡スチロール、漁網、ペットボトル。 けれど本当に厄介なのは、ほとんど目に見えないものかもしれません。 ペットボトルは、透明で、軽く、便利です。 そして、壊れやすく、砕けやすい。 この「透明さ」こそが、問題を静かに広げてきました。 1|ペットボトルは、どれくらい使われているのか? 世界では、毎分およそ100万本のペットボトルが販売されていると言われています。 年間にすると、約5,000億本。 そのうち、リサイクルされているのは約20〜30%程度にすぎません。 日本はどうでしょうか。 * ペットボトルの年間販売本数:約230億本 * 一人あたり使用本数:約180本/年 * 回収率:約85〜90%(※「回収」であり「再資源化」ではない) 数字だけを見ると、

Eiji Yamamoto・

“海に行かないプラスチック”のデザインとは?

Vol.14|“海に行かないプラスチック”のデザインとは? — Designing Out Waste: Rethinking How Things Begin — 海に出るたびに、私は波のあいだを漂う小さなペットボトルを見かけます。 拾い上げながら思うのは、「どうすれば、そもそもここに来ないようにできるのだろう」ということです。 リサイクルや清掃活動ももちろん大切です。 けれど、それらは“起きてしまった後”の対応にすぎません。 本当の問いはもっと手前――設計の段階で、流れ出さない仕組みをつくれるかどうかです。 1|流れ出すようにつくられた社会 プラスチックが海にたどり着くまでには、いくつもの経路があります。 川や街路からの流出、輸送途中のロス、観光地での放置。 しかし根底にあるのは、社会全体が「流れ出すようにできている」という構造です。 使い終わったあとの行方を誰も想定せず、責任の所在が曖昧なまま、 便利さと低コストを最優先に設計されてきた。 その結果、使うたびに少しずつ“余剰”が外へと押し出されています。 かつて「ごみ」は“捨てる人”の問題として語られてきました。

Eiji Yamamoto・

プラスチックという“夢の素材”の誕生とこれから

Vol.12 ― 大量生産・大量消費が始まったその瞬間から、私たちは何を学ぶのか ― はじめに:革命から共創の時代へ 1950年代、プラスチックはまさに「夢の素材」として世界を席巻しました。 軽く、強く、自由に形を変えられる。人類の創造力を支え、社会の隅々にまで革新をもたらした素材です。 しかし70年後のいま、私たちはこの“夢の素材”が引き起こした地球規模の課題と向き合っています。 とはいえ、それは単純な「環境問題」ではありません。 いま問われているのは、素材そのものではなく、人類の制度設計と価値観のあり方なのです。 そして、その転換を象徴するのが、現在国連で議論されているひとつに 「世界プラスチック条約(Global Plastics Treaty)」があります。 第1章:「夢の素材」の誕生 ― 革命の始まり 1.1 ベークライトからの出発 1907年、化学者レオ・ベークランドによって発明された「ベークライト」。 これが世界初の合成プラスチックであり、「人類が自然の制約から解き放たれた瞬間」とも呼ばれます。 だが真の転換点は戦後の1950年代でした。

Eiji Yamamoto・

「捨てられる服」を規制する時代へ

Vol.11― 欧州・フランスに学ぶ、サステナブルファッションの未来 ― “ファッションの自由は、廃棄の自由ではない。” フランスをはじめとする欧州では、いま「衣服の寿命」を制度で延ばす動きが加速しています。 ■ ファッションに対する規制が始まった理由 欧州では、ファッション産業がもたらす環境負荷・廃棄・社会問題に対して、以下の理由から「規制」の対象になりつつあります * CO₂排出量:ファッションは世界全体の約10%(航空・海運より多い) * 水使用量:Tシャツ1枚に約2,700Lの水が必要(人の飲料水3年分) * 廃棄率:EU圏で年間約400万トンの衣料が焼却または埋立されている * リサイクル率:EU内の繊維リサイクル率は1%未満 ■ フランスの先進的なファッション規制・制度 ① リペアビリティ・インデックス(2021年~) * 電子機器等に義務化された「修理のしやすさをスコア化したラベル」制度 * 服や靴にも将来的に適用拡大が検討中 * 目的:製品の寿命を可視化し、買い替え前提文化の是正 ② 廃棄禁止法(2019年) * フランスでは、

Eiji Yamamoto・

ファッションの裏側で燃やされる未来

Vol.10 ― ファッション業界での、私たちが知るべき現実 ― 「あなたが今、着ている服はどこから来て、そしてどこへ向かうのか?」 ファッションは、個性や美意識、文化の表現手段であり、世界中の人々が日々楽しむ産業です。 しかし、その“華やかさ”の裏側には、深刻な環境負荷と構造的なごみ問題が隠れています。 ■ 衣料産業のスケール:大量生産・大量廃棄の象徴 * 世界の衣料品生産量:年間約1,000億着(2015年比で約2倍に) * 一人当たりの購入点数:過去20年で約60%増加 * 廃棄される衣料:年間9,200万トン以上(Ellen MacArthur Foundation) * そのうち、全体の約87%が埋立・焼却されている ※ つまり作られた服の大半は、ほとんど着られないまま、燃やされるか埋められているのです。 ■ ファッションごみの行き先:再資源化はわずか ▷ 世界の衣料リサイクル率(2023年推定) 処理方法 割合 埋立・焼却 約87% リユース・中古販売

Eiji Yamamoto・

アグボグブロシー:その“見えない”現実を語る

Vol.9ー電子ごみの世界最大級の集積地 今もなお、西側から送られる電子廃棄物(E-waste)が静かに押し寄せる場所が、アフリカ・ガーナのアグボグブロシー地区です。この地区は、電子ごみの世界最大級の集積地として知られています。 かつて普通に使われていたスマートフォンやノートパソコンは、ここで“スタートラインのない旅”を終えています。写真のとおり、そこには山のように積まれた電子機器が延々と横たわっており、現地の人々は露天で分解を始めます。 ■ 黒い煙と、そこで暮らす人々の現実 この場所の最も目を引く光景は、黒煙です。銅線を取り出すため、機器を燃やす。そこから立ち込める煙を、特に子どもや妊婦が吸い込みながら作業を行っています。それが日常となっている厳しい現実があります。 電子ごみには鉛・カドミウム・水銀・臭素系難燃剤といった極めて有害な物質が含まれており、焼却時にはそれが大気中に放出され、大きな健康リスクとなります。 ■ 命を削る現場:アグボグブロシーのウェイスト・ピッカーたち アグボグブロシーは、世界で最も過酷なゴミ処理村のひとつと言われています。そこでは、幼い子ども

Eiji Yamamoto・

Subscribe to Newsletter

循環型の未来を形作るアイデアを受け取りませんか。