Roots of Company
壊れた“メイド・イン・ジャパン”のおもちゃを手にした少年
――それが私達の原点でした。
1995年、大学時代にバックパッカーとして訪れたインド・カルカッタ。
ごみの山で暮らす子どもたちの中に、一人の少年が壊れた日本製のおもちゃを宝物のように抱えていました。
「Give me anything made in Japan!」
その笑顔には、「日本のものづくりが世界の子どもを喜ばせている」という誇りと同時に、言葉にできない強烈な違和感を私に残しました。
大学卒業後、私は工場の自動化を推し進めるFactory Automation事業会社へ入り、一秒以下を争う生産性効率の現場で、大量生産を後押しする仕事に携わりました。
けれど心の奥には、あの日の光景と問いが消えずに残り続けていたのです。
工場の大量生産の現場を毎日見ていて、
「大量に作られたものは、最後にどこへ行くのか?」
「大量生産された製品は誰の手に渡り、どんな運命を辿るのか?」
その答えを探していたとき、オランダで「サーキュラーエコノミー」という概念に出会いました。
“つくる”だけではなく、“循環させる”。
“売って終わり”ではなく、“使い終わった後”まで責任を持つ。
その考えに触れたとき、あの日カルカッタで抱いた違和感が、ようやく腑に落ちたのです。
30年後、私は再びアジアのごみ山を訪れました。
状況は変わらず、人々は「大量生産と消費の果て」に囲まれて暮らしていました。
だからこそ、私たちは決意しました。
産業、社会、そして環境が一つの循環の中で共存する未来を設計し、次の世代に手渡すこと。
それが Circular E の出発点であり、使命です。
「つくって、つかって、終わり」ではなく、
「捨てるから、生まれる価値へ。」
「価値が循環する未来を。」