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大量消費・大量廃棄社会が抱える5つの深い代償

Vol.3 ― 経済成長の裏で、私たちは何を失ったのか ― 「買っては捨てる」を当たり前にしてきた私たちの社会。 その代償は、想像以上に大きく、そして静かに進行しています。 ■ はじめに:経済成長の“裏面”を直視する 20世紀以降、人類は劇的な物質的豊かさを手にしてきました。 コンビニに行けばすぐに手に入る食品。1年に何度も買い替える服。次々に登場する家電やデバイス。 これらはすべて、大量生産・大量消費という経済モデルの成果です。 実は筆者も以前、ファクトリーオートメーションの企業に所属し、国内外の工場に対して生産性の最大化を支援する立場にありました。 コンマ何秒の生産スピードを追求し、いかに速く、効率よく、世界中に製品を供給できるか。 その技術と仕組みの最前線にいたからこそ、ある疑問がふと頭をよぎったのです。 「これだけ大量に作られている製品は、一体どこに行き、どんな結末を迎えるのだろう?」 目の前にあるのは効率のグラフとKPIばかりで、製品の“その後”に誰も目を向けていない現実。 この違和感が、いまの筆者の問題意識の原点になっています。 本記事では、今の社会が支えて

Eiji Yamamoto・

なぜ私たちは「大量生産・大量消費・大量廃棄」を選んだのか?

Vol.2 ― 産業・資本主義・人間の欲望から読み解くサーキュラーエコノミー以前の世界― 「捨てること」は、果たして“悪”なのか? あるいは、私たち人類が選んだ“進化の代償”なのか。 ~アジアのごみ山にて~ ■ はじめに:サーキュラーエコノミー以前の問い 近年、「サーキュラーエコノミー」や「脱・大量消費」の文脈で語られるようになった、“反省的な問い”があります。 それは: なぜ私たちはここまで「捨てること」が前提の社会をつくっているのか? この問いに向き合うためには、単なるエコや環境技術の話を超えて、 産業史、経済、資本主義、人間の欲望といった深層の構造を見つめる必要があります。 ■ なぜ「大量生産」は始まったのか? 工業化の原点は「時間と労働」の解放だった 18世紀後半、イギリスで始まった産業革命。 織機・蒸気機関・鉄道によって、「人力・手仕事」の時代から「機械による大量生産」

Eiji Yamamoto・

Rethink Waste. Create Value.

Vol.1― サーキュラーエコノミーとは?リニア型との決定的な違い ―                はじめに:なぜ「捨てる」を疑うのか? 捨てるから、生まれる価値へ。 なぜ「捨てる」を疑うのか? 「使い終わったら、捨てるのが当たり前」 この感覚、私たちの生活の隅々にまで染みついているようです。 新しい服を買ったら、前の服はクローゼットの奥やゴミ箱へ。 最新のスマホが発売されたら、まだ使える機種を下取りに出す。 でも、これは本当に“合理的”な経済モデルなのでしょうか? 今、世界はかつてないスピードで資源を消費し、その一方で廃棄物が山のように積み上がっています。 その光景は、経済の繁栄の象徴ではなく、「仕組みの限界」を映す鏡のようです。 こんにちは、Circular Eです。 本連載「サーキュラーエコノミーを学ぶ」では、欧州を中心に進む循環型経済の最新動向やインサイトを、筆者自身もリニアエコノミーを推進してきたなかで、これからは地球規模で循環型経済の必要性を学びながら皆さんと共有し、議論していく場を作りたいと考えています。 これから循環型経済の仕組みを検討したい、学びたい

Eiji Yamamoto・

Roots of Company

0:00 /0:52 1× 壊れた“メイド・イン・ジャパン”のおもちゃを手にした少年 ――それが私達の原点でした。 1995年、大学時代にバックパッカーとして訪れたインド・カルカッタ。 ごみの山で暮らす子どもたちの中に、一人の少年が壊れた日本製のおもちゃを宝物のように抱えていました。 「Give me anything made in Japan!」 その笑顔には、「日本のものづくりが世界の子どもを喜ばせている」という誇りと同時に、言葉にできない強烈な違和感を私に残しました。 大学卒業後、私は工場の自動化を推し進めるFactory Automation事業会社へ入り、一秒以下を争う生産性効率の現場で、大量生産を後押しする仕事に携わりました。 けれど心の奥には、あの日の光景と問いが消えずに残り続けていたのです。 工場の大量生産の現場を毎日見ていて、 「大量に作られたものは、最後にどこへ行くのか?」 「大量生産された製品は誰の手に渡り、どんな運命を辿るのか?」 その答えを探していたとき、オランダで

Eiji Yamamoto・