The Hidden Cost of Plastic Seas

Vol.13— Floating Waste and Sinking Responsibility — I once watched a small plastic bottle drift past while sitting on my board between sets. Where did it come from? And how long will it take before it disappears—or will it ever? For more than thirty years, I’ve surfed in

海を覆うプラスチック、見えない損失の正体とは？

波の上で漂うペットボトルを見て、私は考えました。 海洋プラスチックはどこから来て、どこへ行くのか。 浮かぶごみの裏側にある“見えない損失”と、私たちの社会構造の歪みについて考察します。

Plastic: From the “Dream Material” to the Next Transition

Vol.12— The Background to the Global Plastics Treaty — By the 1970s, the side effects of this revolution became visible. Plastic waste accumulated faster than society could manage it. Its durability — once a virtue — became an environmental liability. Landfills overflowed, incineration produced toxic emissions, and plastics began infiltrating oceans and

プラスチックという“夢の素材”の誕生とこれから

Vol.12 ― 大量生産・大量消費が始まったその瞬間から、私たちは何を学ぶのか ― はじめに：革命から共創の時代へ 1950年代、プラスチックはまさに「夢の素材」として世界を席巻しました。 軽く、強く、自由に形を変えられる。人類の創造力を支え、社会の隅々にまで革新をもたらした素材です。 しかし70年後のいま、私たちはこの“夢の素材”が引き起こした地球規模の課題と向き合っています。 とはいえ、それは単純な「環境問題」ではありません。 いま問われているのは、素材そのものではなく、人類の制度設計と価値観のあり方なのです。 そして、その転換を象徴するのが、現在国連で議論されているひとつに 「世界プラスチック条約（Global Plastics Treaty）」があります。 第1章：「夢の素材」の誕生 ― 革命の始まり 1.1 ベークライトからの出発 1907年、化学者レオ・ベークランドによって発明された「ベークライト」。 これが世界初の合成プラスチックであり、「人類が自然の制約から解き放たれた瞬間」とも呼ばれます。 だが真の転換点は戦後の1950年代でした。

“The Era of Regulating Throwaway Fashion”

Vol.11 ―Learning from France: The Future of Sustainable Fashion “Fashion freedom does not mean freedom to waste.” Across Europe—especially in France—policies are now accelerating efforts to extend the lifespan of clothing through regulation. Why fashion is being regulated The fashion industry is becoming a target of regulation

「捨てられる服」を規制する時代へ

Vol.11― 欧州・フランスに学ぶ、サステナブルファッションの未来 ― “ファッションの自由は、廃棄の自由ではない。” フランスをはじめとする欧州では、いま「衣服の寿命」を制度で延ばす動きが加速しています。 ■ ファッションに対する規制が始まった理由 欧州では、ファッション産業がもたらす環境負荷・廃棄・社会問題に対して、以下の理由から「規制」の対象になりつつあります * CO₂排出量：ファッションは世界全体の約10%（航空・海運より多い） * 水使用量：Tシャツ1枚に約2,700Lの水が必要（人の飲料水3年分） * 廃棄率：EU圏で年間約400万トンの衣料が焼却または埋立されている * リサイクル率：EU内の繊維リサイクル率は1%未満 ■ フランスの先進的なファッション規制・制度 ① リペアビリティ・インデックス（2021年～） * 電子機器等に義務化された「修理のしやすさをスコア化したラベル」制度 * 服や靴にも将来的に適用拡大が検討中 * 目的：製品の寿命を可視化し、買い替え前提文化の是正 ② 廃棄禁止法（2019年） * フランスでは、

The Future Going Up in Flames Behind Fashion’s Glamour

Vol.10— What We Need to Know About the Fashion Industry ― “Where did the clothes you’re wearing come from—and where will they go?” Fashion is a powerful means of expressing personality, beauty, and culture—an industry millions around the world enjoy daily. But behind the glamour lies a

ファッションの裏側で燃やされる未来

Vol.10 ― ファッション業界での、私たちが知るべき現実 ― 「あなたが今、着ている服はどこから来て、そしてどこへ向かうのか？」 ファッションは、個性や美意識、文化の表現手段であり、世界中の人々が日々楽しむ産業です。 しかし、その“華やかさ”の裏側には、深刻な環境負荷と構造的なごみ問題が隠れています。 ■ 衣料産業のスケール：大量生産・大量廃棄の象徴 * 世界の衣料品生産量：年間約1,000億着（2015年比で約2倍に） * 一人当たりの購入点数：過去20年で約60%増加 * 廃棄される衣料：年間9,200万トン以上（Ellen MacArthur Foundation） * そのうち、全体の約87%が埋立・焼却されている ※ つまり作られた服の大半は、ほとんど着られないまま、燃やされるか埋められているのです。 ■ ファッションごみの行き先：再資源化はわずか ▷ 世界の衣料リサイクル率（2023年推定） 処理方法 割合 埋立・焼却 約87% リユース・中古販売

From the Frontlines of Life-Threatening Recycling — Agbogbloshie, and Beyond

Vol.9⁻Introduction: Is Recycling Always “Good”? The word “recycling” often brings us a sense of reassurance. We separate our used products, confident they’ll be repurposed into valuable resources—almost as if our consumption has been transformed into something good. But from the perspective of the circular economy, there

アグボグブロシー：その“見えない”現実を語る

Vol.9ー電子ごみの世界最大級の集積地 今もなお、西側から送られる電子廃棄物（E-waste）が静かに押し寄せる場所が、アフリカ・ガーナのアグボグブロシー地区です。この地区は、電子ごみの世界最大級の集積地として知られています。 かつて普通に使われていたスマートフォンやノートパソコンは、ここで“スタートラインのない旅”を終えています。写真のとおり、そこには山のように積まれた電子機器が延々と横たわっており、現地の人々は露天で分解を始めます。 ■ 黒い煙と、そこで暮らす人々の現実 この場所の最も目を引く光景は、黒煙です。銅線を取り出すため、機器を燃やす。そこから立ち込める煙を、特に子どもや妊婦が吸い込みながら作業を行っています。それが日常となっている厳しい現実があります。 電子ごみには鉛・カドミウム・水銀・臭素系難燃剤といった極めて有害な物質が含まれており、焼却時にはそれが大気中に放出され、大きな健康リスクとなります。 ■ 命を削る現場：アグボグブロシーのウェイスト・ピッカーたち アグボグブロシーは、世界で最も過酷なゴミ処理村のひとつと言われています。そこでは、幼い子ども

The World’s “Invisible Waste Wars”

世界の「見えないごみ戦争」

The Reality of Using Up the Earth’s Resources — in Numbers

Vol.7— The Real Story Behind Resource Extraction — Every day we put on clothes, buy a drink, use a smartphone, or get into a car. It feels so natural we hardly ever stop to think. But what does the Earth lose in the process of making just one of these

数字で見る使い尽くす「地球資源」のリアル

地中に埋めた“モノ”の行方

Vol.6　─「見えなくする経済」から、「巡らせる設計」へ ─ 地球はすべてを受け入れてくれる。 でも、それは“無限の沈黙”ではありません。 こんにちは。サーキュラーエコノミーを共に学ぶ連載、第6回です。 今回は、「地中に埋める」という行為の裏側に潜む、私たちの社会と経済の“設計ミス”に目を向けます。 「埋め立てる」は終わりじゃない。“見えなくする”という選択 プラスチック容器や古くなったスマートフォン。 「捨てたら終わり」と思っていたものは、実際にはどこへ行くのでしょうか？ 私たちは廃棄物を“手放したつもり”でも、 実際には 「未来の誰かに預けている」だけなのです。 とくに、リサイクルが困難なものは「最終処分場」と呼ばれる場所へ運ばれ、地中に埋められます。 けれどそこには、“自然に還らない素材”が、何百年も居座り続けるのです。 1.プラスチック：500年残る、5分の使い捨て 石油由来のプラスチック──ポリエチレン、ポリプロピレン、

Where Buried Things Go

｜ Vol.6— From a “Make It Invisible” Economy to “Design for Circulation” — The Earth accepts everything we put into it. But that doesn’t mean it offers us infinite silence. Hello, and welcome back to our series on learning about the circular economy together. In this sixth installment, we look

The Invisible Pain That Begins After We Throw Things Away

Vol.5 — The Hidden Costs of Waste for Society and the Environment When a new incineration plant or landfill is planned nearby, most of us feel uneasy. The smell, the impact on the landscape, the risk of harmful substances—few would welcome it if they could avoid it. Yet in

捨てたあとに始まる、“見えない痛み”

Vol.5 ― 廃棄物が社会と環境に与える、もうひとつの代償 ― 近所にごみ焼却施設や埋立地ができると、私たちは不安になります。 におい、景観、有害物質…誰しも「できれば避けたい」と思うのではないでしょうか。 しかしながら、アジアやアフリカの多くの都市では、それが「当たり前の風景」となっています。 都市の外れた郊外、あるいはその真ん中に、「ごみの山」が静かに、確実に積み上がっているのです。 それは単なるごみではありません。私たちの生活の“その後”です。 1.“地中に隠された痛み” 私たちは「埋めれば終わり」と思っているかもしれませんが、廃棄物は土の中で、じわじわと社会や環境を蝕んでいきます。 * ポリエチレン製レジ袋：自然分解までに500〜1000年 * 電子機器（E-waste）：多くは分解せずに残留し、有害物質を周囲に放出 * プラスチック全般：光・熱・水によって分解されるとマイクロプラスチック化 そしてそれはやがて、次のようなかたちで私たちに跳ね返ってきます。 物質 発生源 人への影響 鉛（

The Planetary Cost of a Mass Consumption Society

Vol.4— Do We Have Enough Resources? Can the Environment Withstand It? — “What burden does the Earth bear for a single product—just to be made, used, and then thrown away?” We live surrounded by countless products and services. Yet behind that convenience, the planet’s ecosystems and future resources

「大量消費社会の地球への代償」

VOL.4 ― 資源は足りるのか？環境に耐えられるのか？ ― 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 「たったひとつの商品が作られ、使われ、捨てられるまでに、地球はどれだけの負担を強いられているのか？」 私たちは日々、多くの製品・サービスに囲まれて暮らしています。 しかしその“便利さ”の裏で、地球環境と未来の資源は確実に削られているのです。 今回は、「データと現実」を見ながら、私たちの社会構造がもたらしている環境負荷を深掘りしていきます。 1.地球が1年で再生できる資源を、人類は8か月で使い果たしている * 国際環境NGO「Global Footprint Network」によると、 地球の再生能力を超える“地球超過日（Earth Overshoot Day）”は、 2023年には8月2日まで前倒しされました。 File:1971- Earth Overshoot Day - line chart.svg - Wikimedia CommonsWikimedia Commons つまり人類は、1年分の自然資本（森林、